犬アトピー性皮膚炎の症状や原因、治し方犬アトピー性皮膚炎の症状や皮膚病の原因、治し方

多くの皮膚病はかゆみを伴います。犬アトピー性皮膚炎は、よく見られる一般的な犬の皮膚病です。
犬アトピー性皮膚炎は、人のアトピー性皮膚炎と共通点の多い病気です。ここではその症状や原因、治療方法などについて説明していきます。
しつこいかゆみを管理し、生活の質(QOL、クオリティ オブ ライフ)を下げない治療や工夫が必要です。

病気の概要

犬アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

  • 犬アトピー性皮膚炎は、室内棲息ダニや花粉などの環境中のアレルゲン(抗原)に対する過剰な免疫反応によっておこります。
  • アレルギーが原因の一つなので、他の犬にはうつりません。
  • 遺伝が関与するため、発症しやすい犬種がいます。日本では、柴犬、フレンチブルドッグ、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリアなどで多くみられます。
  • 比較的、若いうちに発症します。はじめはある季節だけ症状が現れますが、年齢を重ねるとともに一年中症状が出てしまうケースがあります。
  • 症状はかゆみから始まり、後に皮膚炎が現れます。そして、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
  • 完治は難しいといわれており、生涯にわたりアトピーの体質と上手に向き合い付き合うことが何よりも重要です。

犬アトピー性皮膚炎の症状

主な症状はしつこいかゆみ。若い年齢(1~3歳)から発症することが多くあります。かゆみから患部を掻き壊してしまうことで、炎症や脱毛、色素沈着が生じます。

かゆみを表す行動
  • 舐める

    舐める
  • 噛む

    噛む
  • 引っかく

    引っかく
  • 擦り付ける

    擦り付ける

症状が出やすい部位

症状が出やすい部位

耳や顔、足の先(指の間)、脇の下、お腹周り、足や尾っぽの付け根などに症状が現れやすくなっています。

犬アトピー性皮膚炎のかゆみサイクルとは?

かゆみを感じると犬は舐める、引っかく、噛む、擦るなどして患部を掻き壊してしまいます。その刺激から再びかゆみや炎症が起こり、また掻き壊す…これを繰り返すと「かゆみサイクル」と呼ばれる悪循環となり、かゆみがどんどん悪化してしまいます。「かゆみサイクル」を絶つために、かゆみは放っておかないことが重要です。

かゆみサイクル

  • 掻破<br>(そうは)

    掻破
    (そうは)

  • 神経における
    かゆみ刺激

  • 炎 症

  • かゆみ
  • 引っかき傷
  • 炎症
  • 発赤
  • 脱毛
  • 色素沈着

犬アトピー性皮膚炎の原因

犬アトピー性皮膚炎の要因は複合的です。要因がいくつも重なって発症するため、獣医師は患者の犬のためにもっとも適切と思われる治療法を選んだり組み合わせたりします。

  1. 01アレルギー体質である

    犬

    抗原に反応しやすいアレルギー体質であったりすると、犬アトピー性皮膚炎が発症しやすくなります。

  2. 02皮膚バリア機能の低下

    皮膚バリア機能

    犬アトピー性皮膚炎の犬において、抗原は皮膚から侵入します。
    健康な皮膚では、“皮膚バリア機能”がはたらくため、抗原の分子が侵入することはありません。アトピックドライスキンとよばれるアトピーの乾燥肌においては皮膚バリア機能が低下しているため、抗原が容易に通過し、アレルギー症状の引き金となります。

  3. 03室内棲息ダニや花粉など
    環境中の抗原が存在している

    室内棲息ダニや花粉など

    アトピー性皮膚炎の犬はなんらかの環境中の抗原にからだが反応してかゆみを呈します。抗原の種類が分かれば、その抗原をなるべく避けて生活する工夫ができるかもしれません。

犬の皮膚トラブルの診断は動物病院で

かゆみにはさまざまな原因があるため、動物病院で複数のステップを経て犬アトピー性皮膚炎を診断します。

  1. STEP01

    発症した年齢、犬種、症状や頻度から
    犬アトピー性皮膚炎を疑う。

    #
  2. STEP02

    似た症状の他の病気を除外する。

    • 寄生虫や感染症による皮膚疾患
    #
  3. STEP03

    食物の関与を調べる。

    • 食物アレルギー
    #
  4. STEP04

    必要に応じて血液検査などを行う。

    #
診断

犬アトピー性皮膚炎と診断されます。

※一般的なステップであり、全てのケースに当てはまるわけではありません。

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犬のアトピー性皮膚炎の治し方

犬アトピー性皮膚炎の治療

かゆみや症状を緩和するための薬物療法、スキンケアを組み合わせて行います。食事を工夫したりサプリメントで栄養を取り入れることも、広い意味で治療といえるでしょう。

お薬(飲み薬・塗り薬など)

お薬(飲み薬・塗り薬など)

経口薬(錠剤、カプセル剤)、注射薬、外用薬(スプレーやクリーム、軟膏)があります。

(例)抗体製剤、ステロイド剤・オクラシチニブ剤・シクロスポリン剤

【飲み薬の注意点】

お薬は処方された量と頻度を守って飲ませるようにしましょう。また、投薬中いつもと異なる様子や異変がみられた際にはすぐに獣医師に相談ください。まれにお薬を飲み込んだふりをして飲み損ねたり、吐き出したりしてしまう子もいます。投薬後は犬がお薬を飲んだかどうかしっかり確認してください。犬アトピー性皮膚炎は良くなったり、悪くなったりを繰り返します。症状が治ったように見えても、ご自身の判断で投薬を中止することは控えましょう。

スキンケア(シャンプー・保湿剤など)

スキンケア(シャンプー・保湿剤など)

抗原や刺激物を皮膚表面から洗い流し、保湿をたっぷりとして皮膚バリア機能を保護することが目的です。獣医師と相談して犬の肌に合ったシャンプーや保湿剤を使用しましょう。

皮膚用のドッグフード、サプリメント

皮膚用のドッグフード、サプリメント

健康な皮膚を維持するための、オメガ脂肪酸などを豊富に含んだフードやサプリメントを取り入れると、お薬の量や頻度を減らすことができるといった治療補助効果が期待できることがあります。

詳しくはこちら

犬のアトピー性皮膚炎を動画で解説

5分で犬アトピー性皮膚炎についてわかる動画です。

犬の皮膚病は動物病院で定期的な診療を

犬アトピー性皮膚炎は、多因性(原因が複数関与)の病気です。原因や悪化因子、環境因子が複数からんで、病気をより複雑なものにしてい ます。同じようなかゆみがみられる他の皮膚病もあり、いくつかのステップを経て診断されます。治療選択肢も複数あり、患者によって適切な薬や治療法は異な ります。
犬アトピー性皮膚炎が、正しく診断・治療できるのは、獣医師だけ。かゆみを適切に管理すれば、犬アトピー性皮膚炎と診断されても、ご家族とともに楽しい生 活を送ることは可能です。獣医師はアトピーの犬にとって欠かせないパートナー。自己判断せずに定期的に動物病院を受診しましょう。

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