ここではアレルギーによるかゆみの話を中心に、一般的な治療方法、およびお薬の紹介をしています。 ワンちゃんは、アレルギー反応によってかゆみを感じると、その部位を舐めたり、かいたり、擦ったりします。 犬の 掻破 神経における 炎 症 やっかいな「かゆみサイクル」を断つために、 抗体医薬、JAK阻害剤、経⼝ステロイドの順で、効果の範囲が広がり、さまざまな原因に対して効果がありますが、その分⾝体への影響も⾼くなり、副作⽤のリスクが⾼まってしまいます。 ※これらのお薬は要指示医薬品である場合があります。要指示医薬品とは、獣医師が処方するもので、一般の消費者は購入することができません。 新しい犬のかゆみ治療が始まっています。 これまでかゆみ治療は、経口ステロイド剤が主役でした。 ※病気や状態によっては、ステロイド剤がベストな選択肢である場合もあります。詳しくは獣医師にご相談ください メリット 1か月の投与で1か月の効果持続が期待。 ワンちゃんのために開発された新しい治療剤経口ステロイド剤と同じくらいの即効性があります。また安全性が高く、長期間投与することが可能。最も新しいタイプのお薬で、「ヤヌスキナーゼ阻害剤」というカテゴリーに属します。新薬ですが米国や欧州では数年前から使われており、「犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン」の中でも、高く推奨されているお薬です。嘔吐や下痢の副作用を起こすことがありますが、その多くは管理可能な範囲です。 犬アトピー性皮膚炎だけでなく、ノミアレルギ-性皮膚炎や食物アレルギー、 ステロイド剤に頼らない治療を実施している 愛犬のかゆみの状況を把握しよう 古くから使われている治療剤です。 ※副腎皮質ホルモン剤 経口ステロイド薬は、プレドニゾロンやメチルプレドニゾロンが一般的です。非常に効果が高く、早くかゆみを抑えるのが特徴で、古くからワンちゃんのかゆみ治療で最も多く使われてきました。長期使用時には、肝臓、副腎、皮膚、筋肉など色々な臓器や組織に副作用をもたらすことがあります。また、多飲多尿(飲水量と尿量が増える)や食欲増加、体重増加、肝酵素の血中濃度が上昇する、免疫低下などが起こる場合もあります。 多飲/多尿 情動の変化 リンパ球減少症 免疫抑制 水分貯留 筋力低下 筋力低下 腹部下垂 菲薄(ひはく)化 側頭筋委縮 肝酵素値の上昇 脂肪蓄積 副腎皮質ホルモンの産生抑制 医原性副腎皮質機能亢進(こうしん)症(クッシング症候群) 副腎機能抑制 多尿 蛋白漏出性糸球体腎症 電解質バランスの不整 Ⅱ型糖尿病の素因 すい炎の素因 易感染性の亢進(こうしん) 脱毛 皮膚の菲薄(ひはく)化 易感染性の亢進(こうしん) 石灰沈着 外用ステロイド剤は人間のアトピー性皮膚炎ではポピュラーな治療剤ですが、ワンちゃんのように毛がある皮膚では、ベタベタする軟膏のような薬は敬遠されてきました。しかし近年、スプレータイプの外用ステロイド剤が日本でも使えるようになり、選択肢の幅が広がっています。患部にピンポイントで治療できるため、経口ステロイド剤に比べ安全に投与することができます。しかし、強いクラスの外用ステロイド剤を長く同じ部位に使用していると、「ステロイド皮膚症」とよばれる副作用(皮膚がうすくなったり、フケが多くなる)が起きる場合があるので注意が必要です。また、使用者がむやみに触れないように気を付ける必要もあります。 犬アトピー性皮膚炎の治療剤です。効きはじめるまでに約1か月程度要するところが弱点ですが、長期間使用してもステロイド剤のように副腎に影響を及ぼしません。もともと免疫抑制剤であるため、免疫が過剰にはたらいている病気(自己免疫疾患など)にも用いられることがあります。免疫抑制の副作用が起こるリスクがあります。 犬アトピー性皮膚炎の治療剤です。皮下に注射をするタイプで、効きはじめるまでに時間がかかるため、はじめは通院や注射の手間を要します。副作用が少なく、安全性の高いお薬です。 犬アトピー性皮膚炎では、皮膚の清潔と保湿を両立するために、スキンケアが推奨されています。イエダニや花粉などの抗原は皮膚から直接侵入します。そのため、抗原を洗い流し、皮膚を清潔に保つことが重要です。また、”アトピックドライスキン”という乾燥状態の皮膚では、角質層のセラミドが少なく、抗原の侵入を防ぐ機能が低下しています。その機能を維持するには、適切な保湿が不可欠です。シャンプー選びも重要で、”アトピックドライスキン”のように乾燥している皮膚には保湿力の高いもの、感染症が併発しているときは抗菌力の高いもの、あぶら症の皮膚では脱脂作用の高いものが使用されています。獣医師さんに相談してワンちゃんの皮膚にあったシャンプーを選びましょう。
かゆみの原因によって治療法は異なりますので、必ず獣医師の診断のもと、適切な処置・治療を行ってください。犬のかゆみの治療では、
早期に「かゆみサイクル」を断つことが重要です
それが原因で、皮膚のバリア機能が低下してしまい、炎症は増幅。
さらに強く、また高い頻度で部位をかきむしり、どんどん症状が悪化してしまいます。
そのため、スピーディーにかゆみ治療を行い「かゆみサイクル」の悪循環を
断ち切ることが治療戦略上で重要になっていきます。
「かゆみサイクル」
(そうは)
かゆみ刺激
かゆみ止めのお薬が有効です。アトピー性⽪膚炎など犬の皮膚病を引き起こす
原因物質( サイトカイン)とお薬の選択
そのため、かゆみの原因に合わせた治療薬を選択することが重要となります。犬の皮膚病である犬アトピー性皮膚炎の主な治療
犬のかゆみ止めに効く新しい治療薬
ステロイド剤は有効性が高く、安価で非常に良い薬です。しかし、副作用の心配がつきまとうため、
同じくらい効果的でより安全な治療法が求められてきました。
近年では医薬技術によって、効果が高くて安全な治療選択肢が増えてきています。抗体医薬
(ロキベトマブ)
デメリット 効果が持続するため、かゆい時だけ頓服的に投与する等のフレキシビリティな使い方には不向きです。
持続性
安全性
メカニズムJAK阻害剤
(オクラシチニブ)
即効性
安全性
メカニズム
疥癬などのアレルギー性皮膚炎に幅広く効果があります。新しい犬のかゆみ治療を行った飼主さまの声
ステロイド剤
ステロイド剤※の作用
経口ステロイド剤
外用ステロイド剤
その他の治療薬・ケア
シクロスポリン剤
犬インターフェロンγ
スキンケア・シャンプー療法